ハルタ-HARUTAな日々、その3 ガラス靴
ガラス靴と言ってもシンデレラのガラスの靴ではありません。
皮革の種類で、ハルタ製品の多くに使用されています。
一番の特徴は、パッと見、エナメル靴に見える程の光沢です。
でも、名前の由来は、ガラスのような光沢が有るからではなく、「成牛」の革を鞣した後、ガラス板に貼り付けて乾燥させて作る作業工程からきています。
その後、塗料で着色され、さらに合成樹脂でコーティングされます。
どんな革でも、均一に、真っ平らで、ピカピカの皮革に仕上がります。
という訳で、ガラス靴の革質は、素人にはまったく解りません。
ここで、カウレザー(牛革)についておさらい?してみましょう。
A、カーフ:生後6ヶ月以内の仔牛の革
B、キッフ:生後6ヶ月以内~1年以内の牛の革
C、ステアハイド:生後3ヶ月~6ヶ月の間に去勢した、生後2年以上の牡牛の革
D、カウハイド:生後2年以上経ち、出産した牝牛の革
E、ブルハイド:生後3年以上経った、繁殖用の牡牛
上から順に価格が下がってきます。
ガラスレザーの材料は、殆どがDや E、硬く、シワの多い「成牛」です。
(ステアハイドレザーをガラス加工した高級品も稀に存在します。)
以上を踏まえて、ガラス靴のメリット、デメリットを説明します。
■メリット
当然価格が安い。
硬く丈夫なので、とても薄く削って使っても、型くずれしにくい。
樹脂加工の為、雨やホコリに強い。
シューケアが楽。
■デメリット
「それ、本皮?」と、よく聞かれます(笑)。
樹脂コーティングされている為、クリームや靴墨が浸透しない。
傷が目立ったり、中身(革質)に当たり外れがある。
ひび割れや塗装の剥がれが起きる。
メリットとデメリットは表裏一体です。
シューケアが楽な反面、ひび割れやキズが出来てしまうと、リペアが非常に難しい。
靴墨で消せるような傷も、そう簡単には補修出来ません。
学生が、安価なガラスローファーを履きつぶして、買い換えるのも納得です。
でも、本当に気に入ったガラス靴は、いつまでも愛用したい!
そう思ったら、試してみてね。
手入れのコツ
○当たりを引く!
○マメにブラッシングする。
○無駄かもと思いつつも、定期的に栄養クリームを塗る。
○歩き方、着座時の足の所作に気をつけて、とにかく傷を避ける。
○しっかり湿気を取る。
○外から見ても、カビや皮革の硬化を見つけにくいので、内部を注意深く手入れする。
おまけ

気をつけていたのに、キズがついてしまった(泣)
そんなあなたのために、軽いキズの直し方を写真にしました。(リスク有り)
① 薄い傷ですが、靴に光沢がある為、結構目立ちます。
② コンパウンド(研磨剤が入っていれば何でもOK)を綿棒で、傷に直角方向に軽く当てて擦ります。
③ ガラスがスリガラスの様な光沢の無い状態になるまで擦り、ブラシやクロスで綺麗にふき取ってから、靴墨を指で塗り込みます。
④ 程よく乾燥させた後に、ブラッシングし、シュークリームかシューワックスを塗って完了です。
完全には消えませんが、殆ど目立たなくなりました。
リスクとしては、樹脂を「削る」ため、ガシガシ擦ると塗装部分まで傷めてしまい、後が大変!